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使いたくなる書体は誰が創ってくれるのだろう

 

ー 私は本書を出版する春夏秋冬叢書 代表でもある。

そこから出版する書籍はもちろん、手がけるグラフィックデザインの全てを自らのフォント、あるいは関わったフォントだけを使ってきた。

必要な場合には、前述したようにその都度手書きした。それが新しいタイプフェイスのヒントになった。

 

そのような私の活動と、十九世紀末のイギリスで繰り広げられた、アーツ・アンド・クラフツ運動を牽引したウィリアム・モリスとの共通点を指摘したのは、豊橋出身のエディトリアルデザイナー白井敬尚氏だった。

 

 「 ウィリアム・モリスは文学と思想を背景に、建築、インテリア、テキスタイル、活字書体制作、印刷、製本、出版など広範な美術・工芸の領域に携わった。こうしたモリスの全方位的な活動と味岡さんの活動はいくつもの点で重なるが、なかでも最もリンクするのは書体制作と出版活動だ。 モリスのプライヴェート・プレス(個人印刷所)『ケルムスコット・プレス』での中核は書体制作である。ー

 

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- 編集長の周辺 -

P.142-